第5回 「ZERONの火蓋」製作風景 2006.1.28公開
「あの独特のタッチはどのようにして描いているのか?」という読者や関係者の声が思った通り多いので、
今回のこのコーナーでは「ZERONの火蓋」の製作風景を少しばかり御覧に入れることにしましょう。
現在(28日)神宮寺氏は第6話のネームに悶絶しておりますが、こちらに少し協力してもらうことでちょっとは
気分転換にもなってるといいかなーということで使用素材などの映像を提供してもらいました。
いや結構手間になってますねすみません(^^;)。
まずはこれを。
これは?画像の通りです。
これが「ZERONの火蓋」の作画に使用されている画材の殆どです。まあ後はスクリーントーンを使ってる部分もありますが。
そう!あの独特のカスレタッチを出すための紙は、100円ショップダイソーで売られている100円スケッチブックだったのです。
何でそんな安物を!?
…それは違います。これに行き着くまでにはワトソン紙だのいろんな紙で散々検討し尽くした末に行き着いた、厳選結果なのです。
嗚呼意外。「これじゃないとダメなんだよぅ」というわけで、もしこの100円スケッチブックが入手困難になったら1000円ででも
買わないと、なのです(笑)。
買ってみた方は分かると思いますが、この紙、ぺらぺらの薄々です。だから折れたり、場合によって(消しゴムかけ時とか)は
グシャッといってしまう恐れも・・・実際せっかくペン入れ終わったのに消しゴムかけ失敗して破いた事もあるそうです。
…まあ紙自体は安いから良いとしてもね…
この漫画スクリーントーンを使用しているところはあまりありませんけど、ぺらぺら紙にスクリーントーンを重ねて切り抜くのは結構
神経を使うようです。楽して描けてはいないのです。万事こういう調子の紙。
「厳選」という点では他の画材、筆ペンやミリペンでも同じことがいえます。適当にそこらへんで買ってきてるわけじゃなくて、
厳選してる結果なのでした。ジャスト「これじゃないとだめー」なのだそうです。
穴を開けて、線を引いて。
いちいち穴を開けて原稿用紙の枠線を作ります。ページが多いとこれも面倒くさいのでした。
話の展開を考えましょう
これは第一話のものです。大まかな話がまとまったら、次にこれにセリフ、ト書きなどを書き出して脚本を組み、これが大体
どういうページ配分になるか?をイメージします。
見れば分かりますが、書きながらの段階でも試行錯誤の跡が随分見受けられますね。
この段階では「大体こういう感じ」というところまで詰めれば良いわけですので、後で作業が進む時に随時変更がかかる
ことが多いです。
ネーム(絵コンテ)にしましょう
脚本が出来たら、次にそれをコマを割って漫画形態にした時の完成時のことを考えながら
コマ割、レイアウトなどの原稿イメージを構築していきましょう。
これはノートで行っています。描いては消し、描いては消しで、完成する頃にはすっかりどす黒く
なってしまいますが、まあ内容は漫画家がこれを元にどういうイメージで描くのか、を思い出せ
ればそれでいいわけです。
もっともこの第一話はまだ時間があったので絵は丁寧だけど、現在はキャラが判別できるくらい
大ラフで、正に本人しか分からん状態になってるそうです(笑)。
本番トレス用の下書きを描きましょう
出来上がったネームを編集者に見てもらってOKが出たら作画に入ります。この後すぐに原稿を
描き始めるとか、漫画家によっていろいろ違うと思いますが、神宮寺一氏の場合は「下書き用の原稿」
から描き始めます。
まず下書き用の原稿を鉛筆で描いてから、これをトレスして本番用の作画をきれいに進めるわけです。
ここに発表した画像だけ見るとあまりネーム時のものと大きく違いがないように見えますが、
実はサイズが全く違います。
上のネームは製本されたノートに描かれていて小さいですが、こちらは原稿用紙と寸分違わぬ
トレス用ですのでB4サイズで大きいのです。
なおこの作画には、枠を薄く書いた原稿用紙をコピーした、普通のコピー用紙に描かれています。
こうして完成です!
上のトレス用下書きが完成したら、それを重ね描きトレスにして本原稿を描き始めます。
こうして比較すると重ね描き用にはフキダシは殆ど無く、如何にトレス専用として描かれているか
分かりますね。
このようにして「ZERONの火蓋」は毎月(今のところ)全ての作業を神宮寺氏一人で行って
読者の皆さんの元に届けられるべく頑張り倒しているのでした。
なお今回の作業には「話のネタを考える」「毎回舞台が違うステージ設定を考える」「出て来る
メカや人物の設定も考える」は一切入っておりませんので、全てこれ以外の時間で対処する
ことになるのでした。
ではまた次回!